森を育て、地域の環を島の未来へつなぐ。 池間島のタマヌオイル

連載

(上記写真)ヤラブの木 タヌマオイル製品

地域の美と健康が動き出した【第84回】(沖縄県)

沖縄・宮古島。宮古空港から北へエメラルドブルーの海を眺めながら走り、1992年に開通した池間大橋を渡ると周囲10kmほどの小さな島「池間島(いけまじま)」にたどり着きます。

池間島のテリハボク

海岸沿いに並んだテリハボク(宮古島方言で「ヤラブ」)から自然に落ちた直径4センチ程のまんまるの実を集め、殻を割り、種子からじっくり油を搾る。
この「タマヌオイル」を使った化粧品を製造・販売する「ヤラブの木」は、神奈川県出身の三輪智子さん、福岡県出身の大介さん夫妻が営んでいます。
ふたりが池間島で出会い、様々な島おこし活動の中から育てた思いを形にした化粧品ブランド「naure(ナウレ)」のタマヌオイル化粧品は、すべての原料製造を一貫して池間島で行っています。
収穫、殻割、乾燥を地域の人たちと島の風や太陽にゆだね、約4か月をかけて乾燥させた種子から、一切熱を加えないコールドプレスでオイルを搾ります。特に島の宝である海を守るために開発した日焼け止めのUVクリームは、シリコン、合成香料、合成着色料、鉱物油、パラベン、紫外線吸収剤、石油系由来成分を使わず、島の素材をベースに作り上げたこだわりの製品となっています。
タマヌオイルには、オレイン酸やリノール酸など肌の保湿に最適な脂肪酸がバランスよく含まれているほか、天然の抗炎症成分カロフィロリードや、高い抗酸化作用をもつトコトリエノール(天然ビタミンE)が豊富に含まれています。強い日差しや乾燥から肌を守り、すこやかに保つ効果に優れています。

ヤラブの木の三輪夫妻

これらの製品づくりを通して、島の豊かな自然を守りながら、作り手も使う方も幸せになれるエシカルでサスティナブルな仕組みづくりの模索が続いています。
長く放置された海岸沿いの共有地にヤラブの木を植え、森を作る取り組みもその一つ。森作りは防風防潮林を整えることで、島の暮らしと豊かな海を守る沿岸生態系再生と、共同原料採取地として里山を再生するという2つの目的があります。子どもたちがいつまでも島で暮らしていける未来をめざして、三輪夫妻と島の人たちはゆっくりとじっくりと前に向かっています。

ヤラブの木:https://yarabutree.com/

(独)中小機構沖縄事務所 中小企業アドバイザー(経営支援)

松本 壮

販路開拓支援を担当。総務省地域人材ネット登録、合同会社PINE MUSIC FACTORY 代表社員

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