US Travel Industry Promote Digital Detox Tour( 今、米国旅行業界がプロモーションするデジタルデトックスツアー)

連載

『Digital 2024 Global Overview Report』が調査したところ、平均的なアメリカ人は毎日7時間以上インターネット接続機器に釘付けになって過ごしており、1日に平均144回、つまり約5~10分おきに携帯電話をチェックしているそうです。そして直近の発表ではアメリカ人の60%が、従来の休暇ではストレスを解消できないと感じていることも明らかになりました。このようにテクノロジーへの依存度が高まるにつれて、それに伴うストレスレベルも高まっており、米国眼科学会はスクリーンに依存したライフスタイルの心理的な負担が不安、うつ、ソーシャルメディア中毒など、さまざまなメンタルヘルス問題の可能性を高めることを証明しています。したがって現代のデジタル世界からの真の逃避を切望している人々が増大し、Digital Detox(デジタル・デトックス)という、一定期間の間意図的にデジタル環境を断ち切る必要性が日々高まっています。オンタリオ州ウィンザー大学がミシガン州デトロイトの公衆衛生科学部と共同で行った研究によると、デジタルデトックスはソーシャルメディア中毒を減らすことでメンタルヘルスの改善と、より健康的なデジタル習慣を促進。多くの人にとって、デジタルの世界から意図的に切り離すことは贅沢であり、心の健康のためにも必要なことだとしています。

そこで今、米国旅行業界では新しいトレンドとしてDigital Detox Tour(デジタル・デトックス・ツアー)という、デジタル機器からプラグを抜き、物理的な世界と再びつながるための意図的な取り組みを設け、常時接続の束縛から解放される体験ができるデスティネーションを精力的にプロモーションしています。代表的な例としてWi-fi環境が悪いアラスカや地中海のクルーズなどがあります。またトップ3のデスティネーションとして以下の3か国があげられます。

・マラケシュ、モロッコ

貧弱なデジタルインフラと没頭できる文化体験から、デジタルデトックスに最適な選択肢。 少し郊外に出ればアトラス山脈で息をのむような景色を日帰りで楽しめます。

ハロン湾、ベトナム

ハロン湾は、アジアで最も写真に撮られる美しい場所の一つで、石灰岩でできた島々とそれを囲む美しい海は、訪れる人を魅了します。 人里離れた場所にあるため、孤独と内省を求める人に理想的な静かな環境が整っています。

・ネパール、カトマンズ

ネパールの標高の高さと自然の美しさ、カトマンズの豊かな歴史と文化を探求する旅は、デジタル社会から逃れたい人にとって理想的な目的地となっている。

つい数週間前、私もデジタルデトックスツアーでマチュピチュ(ペルー)7日間のツアーに参加しました。標高3千メートル以上にある、これらの地域ではネット環境が悪いことは承知済でしたので、久しぶりにパソコンもスマホ(写真は撮影しましたが)もほとんど見る事のない体験で、最終日には頭も目もすっきりしました。今後は更にデジタルデトックスを打ち出すツアーや体験が増えていくと予測します。

五十嵐 ゆう子 Yuko Igarashi

流通ヘルス&ビューティコンサルタント
米国在住の流通専門家。グロサリー業、ドラッグストアを始めとする小売流通全体のコンサルティング&通訳を兼ねるスペシャリストとして活躍。また児童教育や美容・健康産業にも精通し、「DIET&BEAUTY」でコラム(米国の健康・美容最新事情)を15年近く掲載中。その他に日本生協連合会生活資料、イズミヤ総研などの執筆を手掛けている。

米国の流通ニュースも毎週アップしております。ご興味のある方は以下のサイトをクリック下さい。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP