Discount Grocery Chain Sponsors Healthy Kids Program (ディスカウント食品小売業がスポンサーとなった子供たちの健康プログラム)

連載

五十嵐ゆうこのCatch up the Beauty Trend of USA   Vol.109

米国では貧困層地域に住む子供たちの肥満が深刻な問題です。米国に暮らす子供の約20%、5人に1人が小児肥満であり、そのままの状態で大人になると、早い時期から糖尿病や高血圧、がんなどの様々な病気を発症し、早死にする可能性が高まるとの報告があります。ちなみに大人の肥満率は40%です。新型コロナウイルス感染症の悪化により命を落とした人々の多くが同様のグループに集中していました。

ディスカウントスーパー「Lidl US」

特に一年近くパンデミックによる自粛でリモート授業が続き、自宅で座りがちな生活を送っている子供たちの小児肥満がこれまでになく増加傾向にありました。そのような子供たちの為に、東海岸を中心に100店舗以上出店しているディスカウント食品小売業Lidl USが、Healthy Kids Running Series(健康な子供たちのランニング・シリーズ)と名付けた健康改善プログラムを更に多くの子供たちに普及させるため、Lidl USAはそのプログラムの主要スポンサーになりました。プログラムは2〜14歳の子供を対象とする5週間のランニング・プログラムで、毎年春と秋に実際に対面、もしくは仮想世界でレース・コースの内どれかを選択して、週に1回競い合います。
そして同チェーンは今後、このレースをサポートするだけにとどまらず、”I Am A Healthy” と銘打って男女児童のためにオンラインで健康、栄養、フィットネスプログラムなど、子供たちが一年中健康を維持することに集中できるようにするための教育の提供にも協力していくそうです。Lidl USはミドルクラスから所得の低い人々が暮らす地域にも出店している事から、そうした食品チェーンがイニシアチブを取って子供たちの健康プログラムに取り組む事は、社会にとっても非常に良い兆しです。
昨年の米国は新型コロナウイルス感染拡大だけに留まらず、人種差別に関する事件や暴動も多発し、本当に混沌とした時期が続きました。けれども、そこで気づきが生まれ、社会的弱者を救済していく方向へ動いて行くことは、パンデミックの収束と同様に希望の光を感じます。

五十嵐 ゆう子 Yuko Igarashi

流通ヘルス&ビューティコンサルタント
米国在住の流通専門家。グロサリー業、ドラッグストアを始めとする小売流通全体のコンサルティング&通訳を兼ねるスペシャリストとして活躍。また児童教育や美容・健康産業にも精通し、「DIET&BEAUTY」でコラム(米国の健康・美容最新事情)を15年近く掲載中。その他に日本生協連合会生活資料、イズミヤ総研などの執筆を手掛けている。

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