働く女性の健康状態を可視化する「働く女性健康スコア」を発表

業界動向

働く女性のための街の保健室・まるのうち保健室は8日、賛同企業14社に従事する女性3,425名を対象に健康状態を調査した「働く女性 健康スコア」の結果を発表した。

「働く女性 健康スコア」は、(株)ファムメディコと神奈川県立保健福祉大学協力のもと、これまでの調査では把握しづらかった「女性特有の健康課題」、「ヘルスリテラシー」、「セルフケア」、「就労環境」、「生活習慣」の5つの領域を数値化し、企業やコミュニティにおける女性の健康課題を明らかにする取り組みだ。調査報告は各企業にフィードバックされ、その結果をもとに賛同企業同士でワーキングを実施し、課題の共有や解決策についてディスカッションすることで、新たな施策や制度の導入につなげることを目的としている。

今回の調査では、月経困難症、PMS、更年期症状などの女性特有の健康課題で悩みを抱える女性の割合が全体の約8~9割を占めているにも関わらず、理解している人が4~5割、対処できている人が2割程度だということが分かった他、婦人科の受診率の低さや欧米などと比較して低用量ピルの使用率が低いこと、子どもをもつ時期などで多くの女性が悩みを抱えていることも明らかになった。

また、周囲の環境が女性特有の健康課題に大きな影響を与えることも分かった。周りの男性社員や、上司・同僚の理解、職場の雰囲気など、周囲のサポートを受けていると考える女性ほど月経困難症やPMSをはじめとする症状が抑えられ、仕事の満足度やヘルスリテラシーも高くなっているという。「分からないなりに、理解しようとしてくれている、受け止めてようとしてくれている。そうした環境が症状やストレスの緩和につながっている」と神奈川県立保健福祉大学の吉田穂波氏は語る。さらに運動経験や睡眠時間などの生活習慣により症状が緩和する傾向も伺え、解決策が見えてきたという。

調査結果を受け、健康課題に悩みを抱える女性をサポートする取り組みを開始した企業も出てきている。(株)アイスタイルでは、「経膣エコー検査」の費用補助を実施。三菱地所では、不妊治療・PMS治療の費用補助を導入。CREEK&RIVERでは女性に多いがんに関する検診を健康診断の基本項目に組み込む。

慶應義塾大学医学部名誉教授の吉村泰典氏は、「人的資本への投資として、女性の健康問題は、生産性やエンゲージメントの向上、組織の活性化、ひいては企業価値を高めることにもつながることを経営者は認識する必要がある。女性が健康で充実した日々を過ごし、社会で活躍することは経営戦略として不可欠だ」と語った。

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