フェムテック議連 不妊治療・妊活支援事業者が現状の課題を共有

業界動向

フェムテック振興議員連盟(会長:野田聖子議員、事務局長:宮路拓馬議員)の第8回総会が1月25日に開催された。議題は前回に引き続き不妊治療・妊活支援サービスについて。今回、経済産業省の「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」に採択された事業者2社が参加し、サービスの普及に向けて課題を共有した。

LINEを通じた「妊活コンシェルジュサービス」を提供する(株)ファミワンは、実証事業として自治体とも連携した「妊活とヘルスケアプロジェクト」を実施。無料のオンラインセミナーやワークショップを通じて、広く啓蒙活動を行っている。同社代表取締役の石川勇介氏は、妊活や不妊治療サービスが意識の高い企業だけの取り組みになっていることに懸念を抱いており、より強いインセンティブのある施策、小規模事業者でも導入しやすい経済支援策の必要性を示唆する。「健康経営銘柄や子育て支援の『くるみんマーク』等の取り組みは、どういった観点で企業を評価するかが重要だと考えている。それが企業の意識を変革し、取り組む事業者を増やすことにもつながる」と石川氏は語る。

また妊活・不妊治療のクリニック検索サイト「婦人科ラボ」を運営する(株)ステルラ代表取締役の西史織は、独自アンケートをもとに不妊治療と仕事の両立に関する考察を発表した。同社アンケートによると不妊治療と仕事の両立に悩んだことがあると回答した女性の数は全体の8割を超え、「働き方を変えた」もしくは「仕事を辞めた」「治療を辞めた」の数は同じく8割に上るという。さらに「治療のための急な休みが取りづらい」、「社内制度があっても利用しづらい」などの声を取り上げ、社内の環境整備が急務だと訴えた。

また、(株)GA technologiesは、妊活サポートサービスを導入した企業側の立場から現状と課題について報告した。同社は、昨年11月、福利厚生の一環として、ファミワンの「妊活コンシェルジュ」サービスを取り入れた。導入時に実施したオンラインセミナーには社員150名以上が参加。関心の高さが伺えたという。「会社として理解を示してくれているという意思を感じて気持ちが軽くなった」、「外部窓口があることがうれしい」と社員の評価も上々だったようだ。今後は、管理職への意識喚起、オープンに相談できる社内の空気づくり、妊娠後から育児まで含めた知識の提供などを如何に進めていくか検討しているという。

昨年10月の総選挙を経て、新たに女性活躍担当大臣、内閣府特命担当大臣(男女共同参画)等に就任した野田会長。昨年の流行語大賞で“フェムテック”がノミネートされたことや、岸田政権が「人への投資」を強化していることなどを挙げ、「いま大きな転換期を迎えている。今年はやりがいのある一年になる」と語る。また今年4月から不妊治療の保険適用が開始されることに触れ、「患者にとって良かったというだけでなく、“不妊”という言葉が一般化され、一気にリテラシーが進んでいく。議連の動きも加速させていきたい」と述べた。

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