フェムテック振興議員連盟(会長:野田聖子議員、事務局長:宮路拓馬議員)の第9回総会が9日に行われ、民間の医療政策シンクタンク・日本医療政策機構が実施した調査をもとに、事業主が女性従業員の健康支援に取り組むべき課題について共有した。
日本医療政策機構は2004年に設立。市民主体の医療政策の実現を目指した政策提言を行っている。女性の健康分野においては、「健康経営銘柄」の選定用件に「女性の健康保持・増進に向けた取り組み」の項目を追加。また2020年度の「診療報酬の改定」においては、器質性月経困難症への継続的で高い医療提供のための「婦人科特定疾患治療管理課」の設置に寄与するなどの実績をもつ。
総会では、同機構マネージャーの今村優子氏がこれまで同分野に関して行われた調査結果について報告。「働く女性の健康増進調査2018」では、PMSや月経随伴症状時の健康状態について、約半数が元気なときと比較して仕事のパフォーマンスが半分以下になること、ヘルスリテラシーの高い人ほど、低い人に比べて仕事のパフォーマンスが有意に高くなっていることを確認している。
また昨年12月に発表した「現代日本における子どもをもつことに関する世論調査」では、全体の32%が一度も婦人科を受診したことがないことや、子宮内膜症や子宮筋腫などの器質性疾患による不妊のリスクについて、女性で46.7%、男性で66.1%が知らないことがわかり、月経時の症状や月経前症状が治療可能だということを知らない女性も半数近くに上る結果となった。
今村氏はこれらを踏まえ、ヘルスリテラシー向上のための支援強化の必要性を指摘。従業員が必要な時に必要な知識を学べる環境や相談体制の整備。婦人科を受診しやすくするためのサポート体制構築や重大な疾病を見逃さないための健康診断・アンケートによる取り組み、女性の健康状態が社会経済に与えるインパクトの定量化の必要性について提言した。
野田会長は、この日発表された体外受精の保険適用に関する新聞記事を取り上げ、「20年前から体外受精の保険適用に取り組んできたが、フェムテックの時代がようやく来たといえる象徴的な出来事だと考えている。女性が自らの身体を知り、男性も同様に知識をもつことで、最適な時期に妊娠が可能な環境を作ることが一番の不妊対策。これまでダメになったときの対策ばかりだったが、医療も次のステージに入った。これからの私たちの責任も重大だ」と語った。
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