【連載・全3回】韓国でウェルネスとビューティーの祭典、2023チェジュ国際セラピー産業EXPO開かれる③

連載

11月10日から13日迄、韓国チェジュ島(済州島)ソギポ市(西帰浦市)で「2023チェジュ国際セラピー産業エクスポ」が開催された。筆者はこのイベントに参加する機会を得たので本メディアをお借りしてレポートする。(著者 / 早稲田大学招聘研究員 元新潟県産業労働観光部参与 河合雅樹)


最終日の12日には、国際コンベンションセンターから車で1時間半ほど離れた小さな漁村に参加者が移動して、漁村の広場を会場としたセラピーフェスティバルが開催された。日本の田舎で見かける様な公民館施設とその前の広場にステージが設けられ、エクスポの参加者に加えて地域の住民たちが大勢参加した。お婆さん、お爺さん、漁師と思しき中年男性、人懐っこい漁村の婦人たち。若い夫婦と小さな子どもたち。昼過ぎからはステージの周辺のテントでハーブティーのプレゼンテーション、ポールウォーキングやヨガ、セラピストによる施術にはエクスポに参加した専門家と地域住民が入り混じって体験した。日没後、ステージに照明がつき、K-POP系の音響高らかに音楽セラピーの指導者が歌って踊って皆を参加させた。そして、1台のバンが会場に到着すると、地域ならではのご馳走がたくさん並べられた。村の人達にはエビデンスやビジネスモデルには関心が薄いが、行政が主導する政策を体感するのには良いきっかけとなったことだろう。

今回のセラピーエクスポの企画と運営に当たった社団法人セラピー協会のキム・ヒュンジュン慶南大学教授は感想を次のように語った。

「これは韓国で最初のセラピーエクスポだ。韓国政府は森林セラピー法、農業セラピー法、観光セラピー法を制定している。韓国は来るべき人口減少・高齢者人口増・地方自治体の疲弊の脅威に打ち勝つためセラピービジネスを盛んにしなければならない。第一回目の今回は、フォーラム、展示、教育、コンペやフェスティバルと企画のフレームを作ったがこれを継続しなければならない。そして日本など同じ課題を抱える各国との協力や連携がとても重要である。それはきっと健康産業の新たな価値を創造するだろう」

参加しての筆者の所感は、1.研究者が専門分野に拘らずしなやかに他の専門家や行政、地元と交流しようとしていたこと。2.政府、自治体の本気度が伺われる大型の事業だったこと。3.地域住民も別け隔てなく一緒に楽しんで参加できる企画があったこと、である。

筆者は2018年に、チェジュで開催されたヘルスケア産業の会議にも参加した。その時は、日本のヘルスケアやウェルネスビジネスの事例を紹介しても、出席した韓国の医師や行政関係者の反応はあまり熱いものではなかった。5年後の今回、様相はがらりと変わった。韓国はこの分野の先進国を目指そうとしている。キム・ヒュンジュン氏に限らず同じ課題を抱える日本との連携を求める声は少なくなかった。日本では本メディアも関係するWell-beauty Style2024が来年から形を変えて開催される。イベントの主催者や形式は違うが、相互に参加し合うことで、まずは日韓二国間の情報共有の場を今後継続的に作ることはどうだろうか。

これまでの連載はこちら 第一回 第二回

【プロフィール】河合雅樹(かわい まさき)

早稲田大学招聘研究員。2016年迄新潟県産業労働観光部参与として健康ビジネスや地域産業振興に関わった。元食品機能性地方連絡会幹事。

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