第2話「美容師と鍼灸師のコラボレーション」
まさか鍼灸師の自分が美容院で働くなんて、思ってもみませんでした。しかし町のエコノミーな存在である美容院で鍼灸師が体の悩みを聞いてアドバイスができることは、何より鍼灸の世界で大切にしている未病を治すことが出来るということに気がつきました。昔は、簡単に薬が手に入る時代ではなく、一度病気になると治すことがでいない。
Balance Method
病気の一歩手前で治す予防法として鍼灸は使われていました。それを考えると本来の鍼灸師の仕事をしているという実感が沸いてきます。西洋医学が主流になり、鍼灸のテクニックも西洋医学化する中で、昔ながらの自然免疫を高めることのできるバランスメソッドをメインで行っているのも結果を出せる一つの要因だと考えています。美容室の動きは常に「動」であり、ベットでじっくり行う日本式の鍼灸はリズムが合いません。その点、バランスメソッドは、椅子に座り、時には動きながら、鍼を打っていくスタイルは、美容室のリズムと同じです。今まで鍼灸師だけで食べて行くのは難しいと思っていました。その証拠に、鍼灸をやりながら別のバイトで生計を立てている人もいるなか、鍼灸師だけで生きていくことはできないと思っていましたが、今は純粋に鍼灸師の仕事に向き合えて幸せだと感じます。
最近、美容師さんから髪を綺麗にするための鍼をしてほしいと要望があります。髪の状態は東洋医学的に見ると血のあまりなので、髪の状態を良くしようと思うと血が綺麗で、流れが良好である必要があります。血液を綺麗にするためには食べ物ももちろんですが、体に疲れを溜めていると筋肉は硬くなり、自律神経は乱れ、正常な内臓の働きは得られません。肌の血色が悪くなったり、髪が細くなってきたり、すぐ疲れやすくなってしまったり。年齢のせいにしている方が少なくありませんので、美容院に来られたお客様に鍼灸師がアドバイスをし、ヘアメニューのついでに体のケアもしていかれるという流れが出来たことで、シャンプーやトリートメントだけではなかなか髪の悩みが解決できなかった人にも変化が現れ、喜ばれています。また、鍼灸師が中心となって季節ごとのおすすめの養生食の動画を作成して配信をし、お店で食事のアドバイスをすることにより付加価値が生まれ、他の美容院との差別化ができています。鍼灸師と美容師というあまり関わりの無いように見える職業ですが、無添加天然のものを使用し、体を内側から整えていくことが大切だという共通意識があれば、とても良いパートナーシップです。
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