“信頼”と“身近さ”が購入へとつながるヒントに<インタビュー>(株)ロフト 本間 弓子 氏

インタビュー
〈インタビュー〉(株)ロフト 商品部 健康雑貨部 開発担当/海外事業部 商品担当 本間 弓子

 多彩な生活雑貨を取り揃え、独自の品揃えで30~40代の女性を中心に幅広い顧客層を取り込む生活雑貨専門店のロフト。現在、全国に100を超える直営店とFC店舗を展開する。同社ヘルス&ビューティ分野で商品開発に携わる本間氏に、美容商材のトレンドと同社の最新の取り組みについて尋ねた。

“新たな日常”でトレンドにも変化

コスメ関連のトレンドは、感染症拡大以降で、大きく様変わりしました。現状で売れているものは、やはりコロナに対応したものが多く、まつ毛美容などアイカテゴリー関連の製品はかなり伸びています。またマスク生活の影響でスキンケアやオーラルケア製品も好調です。
購買にあたりお客様が仕入れる情報はSNSなどにシフトしました。その結果、インフルエンサーが紹介するコスメが大きく動いています。全体としては落ち込み気味のリップケアも、ユーチューバープロデュースのアイテムについては好調です。いまロフトではヘアメイクアップアーティストの河北裕介さんプロデュースの「&be」というブランドが特に人気ですが、こちらもSNSでの発信が大きく影響しています。
また環境にも自分にも優しいをコンセプトにした“ナチュラルコスメ”が、カテゴリーとしては大きくなってきています。以前に比べてテクスチャーが随分良くなり、一般の方も手に取りやすくなりました。数年前までは限られたブランドしかありませんでしたが、ナチュラル製品の新ブランドも増え、マーケットは今後も拡大していくと予想されます。今後は、“肌に優しい”、“環境に優しい”だけでなく、若年層向けに“おしゃれ感”などの訴求も同時に求められてくるでしょう。
ジェンダーレスのコスメやメンズコスメもかなり出てきています。メンズコスメでは、これまで髭の剃り跡を隠すアイテムやスキンケアが中心でしたが、若い男性中心にメイクアイテムの需要が増えています。取り扱いメーカーも増え、既存のメーカーから独立して、新しいメンズコスメブランドを立ち上げるところも出てきています。
最近注目を浴びはじめているフェミニン系のアイテムについては、銀座や渋谷といった美容感度の高い顧客層が多い店での反応はいいです。ただ欧米に比較して広がっていくのはまだこれからになると思います。

インスタライブで若年層に訴求

緊急事態宣言で、店舗に来店される客数が減ったことから、ロフトでもインスタライブなどSNSを活用したマーケティングを強化しました。今の若い世代は、テレビよりも、ネット配信サービス動画を視聴する方が多いと聞きます。中でも商品比較の動画を参考に購入を検討する層が一定のボリューム存在し、配信者の信頼度が高ければ高いほど売上に結びつきます。特にロフトで取り扱うコスメはどちらかと言うと新しいブランドや比較的手に取りやすい価格のものが多いため、インスタライブやSNSを通して身近に感じてもらうことが購買につながっています。
特に自粛期間中はセルフストレッチやホームトレーニンググッズをはじめ、エクササイズアイテムを紹介する「ロフトレ」にも力を入れました。もともと年末から年明けにかけて、正月太り解消の簡単トレーニングを紹介する企画ですが、今回ロングスパンで展開したり、著名人とのコラボやインフルエンサーと合同によるライブ配信なども行いました。
またロフト全店で開催する「コスメフェスティバル」についても、例年は店頭や展示会を通して行う告知に加えてインスタライブを積極的に行いました。若手のバイヤーの頑張りで、多いときには1日に4件のライブ動画を配信するなど、イベントを盛り上げてくれました。

SDGsの取り組みを訴求

コロナ前からですが、ロフトではSDGsの取り組みを強化しています。現在エコやサスティナブルといった訴求を都内中心に展開しており、5月から化粧品の容器を回収する「容器回収リサイクルプログラム」の回収拠点店舗としても参加していますし日本製・海外製品問わずエコやオーガニックに取り組む製品を集めたコーナーを銀座ロフト店に設置しています。
またアトピーや敏感肌の人に使用していただけるボディソープやシャンプーをラインアップした「パックスオリー」というブランドがリニューアルされ、いまロフト全店で先行販売しています。もともと環境に優しい素材を使用した製品ではあるのですが、パッケージもエコ素材に刷新し、改めて訴求を行っています。
今後、こうしたアイテムを増やしながら、企業として環境配慮型の暮らし方提案をして行きたいと思っています。

ほんまゆみこ
2003年2月(株)ロフト入社。立川ロフト店長、商品部健康雑貨部バイヤー、商品部健康雑貨部企画開発担当等を歴任し、2019年9月より商品部健康雑貨部開発担当・中国担当。

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