投資が注目する新市場「フェムテック」の今後( pilot boat CEO 納富 隼平)

インタビュー

〈インタビュー〉pilot boat CEO  納富 隼平

女性特有の健康課題をテクノロジーを用い解決を目指すフェムテックは、新しい産業として世界的に注目されている。ベンチャー・スタートアップのサービス内容や価値観を伝えるWEBメディア「pilot boat」CEO 納富 隼平氏に、フェムテック市場の展望を聞いた。

フェムテック市場に新たな動きは?

オンラインでピルを処方するサービスを行う日本国内の企業が、昨年末に10億円以上の資金調達をしました。日本企業がこの市場に出てきたことには注目しています。

フェムテックで資金調達している件数は年々増加していますが、昨年が今までで一番多かったです。生理に関連するIoTの開発、子宮内フローラの検査、乳がん検査など、メディカルをバックボーンにしている企業が資金調達している印象が強いです。あとは、フェムケアになると思いますが、女性のデリケートゾーンに塗る石鹸を取り扱う会社などでした。

フランスなどでは、ピルの使用率が約30%以上と言われていますが、日本は3~4%で、10分の1の使用率です。外国人でも日本人でも女性の体の構造は同じわけですから、この差は何かといえば、おそらくカルチャーの違いによるものでしょう。しかしながら、近年、ピルだけでなく生理など、昔からタブーとされてきたものがオープンになってきています。この先、使用率が上がり、3%が6%になれば当然市場規模も倍になります。10年後に30%になってもおかしくない。スタートアップとしては注目の領域なのです。

フェムテックとフェムケアの違いは?

テクノロジーがかかわるものは「○○ テック」と呼ばれます。ウーマンズヘルスという女性の健康に関する市場はあって、ナイーブな領域のためベールで覆われているような状態でしたが、フェムテックという言葉が浸透してきたとき、ウーマンズヘルスにあたるフェムケアもまとめてフェムテックと呼ぶようになってしまっているのが現状です。沢山の新製品が登場することは良いことですが、整理は必要でしょう。

フェムテック領域の未来は?

今後の予測は難しいですが、例えばサービスの数自体は増えていくでしょう。ただこれまでのスタートアップという意味で考えると、フェムテック分野にはお金がつきにくいのが現状です。それは、スタートアップの創業者や投資会社が男性社会のため、担当者の8割9割が男性だからです。生理など、なかなか男性には理解しにくい領域ですよね。ただ今後、ユーザーがサービスを活発に利用するようになればステージも進み、先が見えてくるようになりますので、投資しやすい環境になってくるでしょう。

 

のうとみ じゅんぺい

大手監査法人で会計監査に携わった後、ベンチャー支援会社に参画し、300超のピッチ・イベントをプロデュース。 2017年に独立して合同会社pilot boatを設立し、引き続きベンチャー支援に従事。

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