まるのうち保健室「働く女性ウェルネス白書 2022」を公開

業界動向

(写真)国際女性デーにあわせて行われた発表イベントでは、働く女性の健康について考える特別トークイベントが行われた

働く女性のための街の保健室・まるのうち保健室では8日、働く女性を対象にした産学医連携の疫学調査モデルの実践と提言をまとめた「働く女性ウェルネス白書 2022」を公開した。

まるのうち保健室は、働く女性のライフイベントや未来の姿に寄り添うプロジェクト「Will Conscious Marunouchi」の取り組みの一つとして2014年にスタート。まるのうちエリアで働く女性の身体の悩み相談や実態調査、啓発イベントなどを行っている。

昨年、三菱地所(株)と医療コンサルティング企業の(株)ファムメディコが共催し、クレアージュ東京 レディースドッククリニック協力のもと「まるのうち保健室オリジナル健診プログラム」を開発。約300名の女性が参加し、神奈川県立保健福祉大学が診断結果とアンケートを分析し、同白書としてとりまとめた。「個人へのアプローチとともに企業と連携し、働く女性を取り巻く環境を見つめ直すことが今回の趣旨」と三菱地所(株)エリアマネジメント企画部 まるのうち保健室 プロデューサーの井上友美氏。アンケートによる主観的なデータと臨床データによる客観的なデータの両側面からアプローチしている。

白書では生理や更年期など女性特有の課題が働き方に及ぼす影響や実態について調査している。都心で働く女性を対象としたものだが、全体の7割以上が月経痛・PMS症状を抱え、45~55歳のうち更年期症状があると回答したのは65%に上る。またピルの服用率は全国平均(2.9%)の約5倍で、年代別では20代 が最も高いことがわかった。「低用量ピルは産婦人科医が月経治療にも使っており、避妊以外に病気の改善予防効果がある。そうした知識が広まっていると考えられる」とファムメディコ 取締役CVOの佐々木彩華氏は分析する。

仕事と健康に関する調査では、仕事のパフォーマンスが高い人と低い人とを比較分析を実施。在宅勤務中心の勤務体系の女性にPMS症状が少ない傾向がみられた他、時短勤務やフレックス制度の利用のしやすさが婦人科疾患の有病リスクを下げる可能性が示唆された。さらに女性特有の症状と対処法を理解している人ほど仕事のパフォーマンスが高い傾向も伺えた。一方、PMS症状や更年期症状があるにも関わらず全体の4割の女性が婦人科を受診していない現状も明らかになった。

慶応義塾大学名誉教授の吉村泰典氏は「昨今の健康問題では、主に50、60代に光が当たっているが、これは男性のイメージ。女性の場合は30代から健康リスクの発現や症状が見られる。今回の調査で従来の男性モデルの政策やサービスとは別建ての取り組みが必要だということわかった。働き方というレベルを超え、生き方や文化という面でも、取り組みをさらに進め、行政や労働政策に変革をおこすものとして期待したい」と語った。

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