フェムテック議連 治験等医療データの活用について議論

業界動向

フェムテック振興議員連盟(会長:野田聖子議員、事務局長:宮路拓馬議員)は2月24日に第10回、3月3日に第11回総会を開催。不妊治療におけるデータ活用をテーマに、議論が行われた。

第10回総会では千葉工業大学変革センターの伊藤穣一センター長が参加し、個人の健康データの適切な管理と活用法について語った。

米国をはじめ、海外では病院の治験データ等を個人が特定できないモデルデータに変換し、企業側に提供するシステムが構築されており、各種サービスやプロダクトの開発等に利用されている。国内でも次世代医療基盤法(医療ビッグデータ法)が2018年に施行され、データ活用に関する法整備はできているものの、認定事業者が少なく、ほとんど活用されていないのが現状だという。「技術自体は実現可能なところにきている。国がデータを整備・管理し、企業側に提供する図式が構築できればいい。それをもとに製品開発が行なえれば、より良いものができる」と伊藤氏。フェムテックという、これから形成される市場だからこそ、データの“プラットフォーム”化も実現しやすいと期待を寄せた。

また第11回の総会では、(一社)メディカル・フェムテック・コンソーシアム理事長の松本玲央奈氏から、不妊治療における“医療アクセスの壁”の解決に向けたオンラインデータ活用についての提案があった。

4月にはじまる不妊治療の保険適用により、金銭面の課題の解決が期待されているが、生殖専門医の不足や仕事や家庭と治療の両立から、依然として通院などアクセスに関する課題が大きな“壁”となっている。同氏は近隣の産婦人科と遠方の生殖専門医がオンラインでデータ共有していくことで、分業体制を構築。採血や血液検査、エコー検査などを近隣の産婦人科で受診し、採卵や胚移植などの時のみ生殖専門医に通うことで、こうした時間や距離の問題の解決につながり、患者の通院負担の軽減につながると語る。その上で、オンラインの診療規制の問題や同診療への保険適用と、地域の産婦人科医が協力したくなる制度や仕組みづくりなど、実現するために必要となるいくつかの検討課題についても言及した。また同日の総会では現役女性自衛官出席のもと、現場での悩みなどに関する聞き取り調査も実施された。

野田会長は、「日本人はデータをビジネス活用する文化がないため、取り扱い方がわかっていない。情報の取り扱い次第で差別の助長にもつながる一方で、災害など有事の際の有効性も認められてきている。今後メリットを明確にし、コンセンサスを図ることが必要」と語った。

 

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