その昔オリンピック選手たちに注目されたサウナは、高度成長期の日本の頑張るサラリーマンの休息の場として全国に広がった。2017年頃からは、溢れる情報に疲れた現代人のストレスケアや心身のバランスを「ととのえる」場として再び注目されている。そして、このサウナブームや大型温浴の開業は美容・健康ビジネスにも大きなインパクトを与えている。
大型温浴施設オープンが続々と
後楽園の天然温泉「スパラクーア」が新たなスペースとして貸し切り個室、プライベートサウナ、サウナラウンジを加え 4 月 15 日リニューアルオープンした。最大 2 名まで利用可能なスタンダード 5室、4 名まで可能なプレミアムルーム 6室で構成される。水温約 17 度の水風呂、インフィニティチェアとオットマン付きチェアを備えたととのいスペース。約 45 度の女性用岩盤浴室やクールダウンルームを増設した。サウナを強化し増客を狙う。今年 3 月には、日本ハムの新球場「エスコンフィールド北海道」に世界でも初と言われる球場内天然温泉とサウナが誕生したばかり。半屋外の水着着用ゾーンでフィールドを見下ろせる 24 席の「ととのえテラスシート」があり、サウナ室や浴槽からも試合が見られる。温浴の常識を変えた。また、4 月 12 日には、六本木エリアに、最大級の温浴施設「サウナ・スパテルマー湯西麻布」がオープン。延べ 2400 ㎡の施設内はエジプトオリエンタルの空間にある様々なタイプのサウナは圧巻だ。そして来年 2 月は、いよいよ、豊洲の「千客万来施設」(仮)が開業する。延床 14,690.63 ㎡の商業棟と延床面積 19,095.73 ㎡の温浴棟「東京豊洲万葉俱楽部」(仮)があり、露天風呂、サウナ、岩盤浴、足湯が準備されている。
こうした大型施設の開業ラッシュは、開業に直接関わるサウナ、温浴関係企業だけでなく、レジャー産業でもある様々な健康・美容分野にも大きなインパクトとなる。コロナ禍 3 年間の沈黙期間を経て、いよいよ業界が動き始める。
現在の盛り上りは第3次サウナブーム
マスコミやネットではサウナの話題でもちきりだ。都心での超大型サウナ施設オープン、仲間と行くリゾート地や自然の中でのサウナ旅、サウナ好き芸能人の自宅サウナライフ。利用者は男性に留まることなく若年女性の間にも広がってきた。サウナを生活に取り入れた「サウナ―」が増え続けている。
1996 年当時 4000 軒近くあったサウナはオイルショックで一度は半分に減少し、現在は、厚労省の許可件数をみると全国の専業のサウナ軒数は 1500 箇所。しかし、サウナ設備導入は、温泉、ゴルフ場、ホテル、公衆浴場、銭湯、スポーツクラブ、旅館、日帰り温浴業態など多岐にわたり、我々の生活に既に定着していると言える。温冷浴が行える「水風呂」、「外気浴」が体感できる施設が増えたことや、「個室サウナ」、「テントサウナ」のような手軽にサウナ浴を楽しむ選択肢も増えたことが今回のブームを後押しした。「フィンランド式サウナ」「ロウリュウ」「アウフグース」「ととのう」という言葉が、マスコミで話題になり、一般化したことも第3次ブームの特徴と言える。
DIET&BEAUTY初夏号抜粋。記事の続きは「読者登録」で読みことができます! ⇒こちらから
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